金融テクノロジーの発展が生んだ業界の新しいトレンド・テーマ株【フィンテック関連銘柄特集】

フィンテック関連銘柄

フィンテック(金融産業とIT技術の融合)関連銘柄は、金融業界の新しいトレンドとして国内市場だけでなく世界中の投資家から注目を集める次世代のテーマ株。スマートフォンの普及や人工知能(AI)・Iot・ビッグデータ技術の発展を背景に、アメリカを筆頭にヨーロッパ、そして日本国内へと急速に拡大した2016年を代表する成長産業がこのフィンテックと言えるでしょう。
フィンテックという言葉にまだ馴染みが無い方や関連テーマの出遅れ株・本命銘柄をチェックされている方まで、参考にして欲しいフィンテック関連銘柄特集をご紹介。フィンテックをはじめとする金融テクノロジーの普及、IT企業を中心とした金融ビジネスへの新規参入など、2017年もフィンテック関連銘柄・企業の成長に大きな期待が向けられています。

フィンテック(FinTech)とは?

フィンテックとは

フィンテックとは、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語で、スマートフォン・ビッグデータ・AI(人工知能)などのIT技術を活用した新しい金融サービスのことです。このフィンテック産業に携わり開発や提供、影響を受ける金融セクターの企業・銘柄のことをフィンテック関連銘柄といいます。

日本では日常生活の中で造語をよく見かけるため、この「フィンテック」という言葉を和製英語と勘違いしてしてしまいそうですが、言葉の発祥は米国といわれています。2008年秋に起こったリーマンショック後、経営が悪化した大手金融機関の貸し渋りによって、低所得者や中小企業が融資を受けづらくなった際、これをチャンスと捉えたIT企業が新たな発想で融資などの金融サービスに乗り出したことをきっかけに、フィンテック産業は大きく発展したとされています。

その後、2014年頃から日本でもフィンテックという言葉が使われ始めて以降、今ではテレビや雑誌・専門誌などでは当たり前のようにクローズアップされ、先行する米国の軌跡をたどるように多くのフィンテック関連サービスが普及されるようになりました。

生活に普及し始めたフィンテック関連サービス

IT企業の金融ビジネスへの新規参入などもあり、フィンテック関連の新しいサービスや製品が次々とリリースされ、日常生活の中に徐々に定着し始めています。こうした新しいサービスが生活をより良く便利に変えてきた例として、携帯電話と電子マネー決済を利用した「お財布ケータイ」、インターネットを利用して入出金などを可能にした「ネットバンキング」など。これら馴染みのあるサービスもIT技術を利用した金融サービスなので、フィンテック関連の製品といえるのです。

以前から生活の一部として馴染みのある「お財布ケータイ」や「ネットバンキング」といったサービスを、フィンテック産業の関連製品・サービスと置き換えて考えてみると、IT技術と金融サービスを融合させた新たな産業に注目が集まり、今後の成長が期待されるのも頷けるのではないでしょうか。

この他にも、フィンテック関連のサービスがいくつも発表され大きな話題となっています。フィンテックの魅力をより深く知っていただくために、代表的な製品・サービスをご紹介します。

スマートフォン(モバイル)決済関連サービス

フィンテックという言葉を一躍有名にしたサービスと言えば、なんと言っても決済サービスでしょう。これまでにもSuica(スイカ)やFelica(フェリカ)といったプリペイドモバイル決済は広く普及していましたが、アメリカで創業されたモバイル決済ベンチャー「Square」、国内でも一般的に知られている「楽天スマートペイ」「Apple Pay」の登場によって、フィンテックとモバイル決済サービスは生活に深く浸透することになりました。

フィンテック技術を使ったモバイル決済の代表的なサービス「Square(スクエア)」は、小型のリーダー端末をスマホ(タブレット)のイヤホンジャックに差し込むだけで、クレジット決済機能を導入できるサービス。
例えば、これまで個人経営の小売や飲食店でクレジットカード決済に対応することは、コストの問題からハードルが高く感じられてきましたが、このSqare(スクエア)とスマートフォンさえあれば、簡単にクレジットカード決済を店舗に導入できるようになるのです。

最近では、インバウンドの拡大や東京オリンピックの開催決定にともなって、外国人観光客が増加し、国内店舗のクレジットカード決済対応への必要性が高まっています。フィンテックを活用したこれらのモバイル決済サービスは、店舗側の導入コストを抑えて消費者のニーズにも応えられる理想的なサービスと言えるでしょう。

クラウド家計簿アプリ・会計・経営支援 関連サービス

フィンテックを活用したモバイル決済と並んで、一般生活に広く浸透したフィンテックの筆頭サービスと言えば「クラウド家計簿アプリ(家計簿ソフト)」です。現在では、さまざまな家計簿アプリが提供されているので、「お金の管理はスマホアプリで自動家計簿」という方も多いのではないでしょうか。

これまでの家計簿と言えば、日々の収支をノートや手帳に細かく記録して銀行通帳と電卓のにらめっこ。といった、面倒くさい印象が強かったと思います。家計簿をつけ始めても、毎日の食事や出費、さらにはコンビニで買った軽食まで記録し続けるのが面倒で長続きしなかった。という苦い経験を持つ方も多かったはずです。

こうした家計簿のネガティブな印象を大きく変えたのが、スマートフォンに対応した「クラウド家計簿アプリ」です。このクラウド家計簿アプリ、便利で役立つさまざまな機能を備えていますが、特筆して優れているポイントをいくつかご紹介します。

  • 毎日の細かな出費はレシートをスマホで撮影するだけ。項目も自動で分類して家計簿に反映されます。
  • 銀行やクレジットカードにつなげば、食費や光熱費などの支払い・毎月の収入も自動で家計簿を作成。
  • 家計や資産の内訳がグラフや表で作成されるので、節約のポイントや資産の推移がひと目でわかる。
  • など。

『600万人以上が利用する日本最大級の無料オンライン家計簿「Zaim」』、『3年連続でGooglePlayベストアプリを受賞した「マネーフォワード」』この2つは、利用者数や認知度から家計簿アプリの国内代表格といっても良いでしょう。

フィンテックは企業の経理・会計業務も大きく変える

フィンテックを活用した技術は家計簿アプリだけでなく、企業の経理・会計業務も効率化する多数のサービスが登場しています。例えば、例えば、クラウド会計ソフトの「free」や家計簿アプリでご紹介した「マネーフォワード」、請求書管理の「楽楽明細」や「Misoca」などが挙げられます。

このクラウド会計ソフトを導入すれば、これまで手入力で記帳していた内容を、銀行の取引データから直接経理処理が行えるようになり、経理業務を効率化しつつ、人件費の軽減にもつながるなど既存の会計業務を大幅に改善することができるようになるのです。

企業のお金の管理もサポートしてしまうフィンテック技術の登場によって、経理・会計業務における入力作業はすべて自動で行われ、送金や決済などはキャッシュレスで進められる時代が近い将来訪れるかもしれません。

クラウドファンディング 関連サービス

クラウドファンディングとは、主にインターネットを通じて自分のサービスや商品をアピールすることで、賛同してくれる資金提供者を募る、資金の調達方法のひとつ。別名「ソーシャルファンディング」と呼ばれています。クラウドファンディングは英語で「Crowd(群衆)」+「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語で「Crowdfunding」と書きます。つまり、”ある目的のために不特定多数の人びとからお金を集める行為“、それがクラウドファンディングです。

”「フィンテック」はリーマンショック後、金融機関の停滞をきっかけにして大きく広まった。”と前述しましたが、大手金融機関に代わって活躍したサービスがこのクラウドファンディングとされています。

クラウドファンディングの仕組みは至ってシンプル。「こんなモノを作りたい」「こんなサービスを提供したい」というアイデアはあるものの、自己資金では実現できない起案者が、インターネットを通じてアイデアの仕様や必要な資金額、出資に対する報酬などをまとめ、クラウドファンディングサービスを提供するウェブサイトに掲載します。

このアイデア(プロジェクト)に賛同した支援者がウェブサイト上で出資し、その出資額の合計金額が目標に達するとプロジェクトが成立となります。起案者は実際にプロジェクトを進められるようになり、支援者はあらかじめ提示されていた報酬を受け取ることができるという仕組みです。

支援者が受け取る報酬のタイプによって、「寄付型」「投資型」「購入型」の大きく3つのクラウドファンディングに分類されています。

寄付型 プロジェクトに対して「寄付」をするタイプで、出資に対するリターンはありません。地域支援や難病の方の治療代の寄付などがあります。
投資型 お金を借りたい起業家やクリエイターなどが、多数の投資かより資金を借りることができます。投資かは出資額に応じた元本と利益を受け取るタイプなどです。
購入型 プロジェクトや事業に対して、パトロンのような形で支援するタイプ。りーたんとしてモノやサービスが受け取れます。

アメリカと比べれば、日本におけるクラウドファンディング市場はまだ成熟していないとされていますが、国内にはすでに100を超えるサービスが誕生しています。中には、有名人が発信するプロジェクトなどもあり、若い世代を中心に注目を集め投資家の関心も徐々に広がりを見せています。

フィンテックの本命と呼び声高い『ブロックチェーン関連銘柄』

ブロックチェーン関連銘柄

フィンテックを支える基盤として多くの投資家や起業家から注目を集め、本命との呼び声が高いのが「ブロックチェーン」関連企業・銘柄です。

ブロックチェーンは、インターネットでやり取りされる仮想通貨「ビットコイン」の基盤として注目された技術で、データの改ざんをされにくくし、更に低コストで運用できるといった優れた特徴をもちます。この優れた特徴は、ビットコインや通貨としての利用にとどまらず、これまでのビジネスの仕組みや公共サービスをも飛躍的に改善するとの見通しから、ブロックチェーンの技術開発と普及は、インターネット誕生以来の革新的な社会インフラになるともいわれています。

こうしたブロックチェーン技術開発やサービスの提供を行う企業を「ブロックチェーン関連銘柄」と呼び、大きく分類すると「パブリックブロックチェーン(Orb社など)」、「プライベートブロックチェーン(テックビューロ社など)」の2つに分類されます。

プライベートブロックチェーン(テックビューロ系) さくらインターネット(3378) / ロックオン(3690) / SJI(2315) / インフォテリア(3853) / アイリッジ(3917) / フォーサイド(2330) / GMOインターネット(9449)など
パブリックブロックチェーン(Orb系) セレス(3696) / リアルワールド(3691) / アドウェイズ(2489)など

フィンテック関連企業・銘柄情報

フィンテック・ブロックチェーン関連の大相場が作り上げられて以降、これまで本命視されてきたフィンテックの代表銘柄や、業務提携や材料発表にともなって出遅れて注目された企業をいくつかピックアップします。

さくらインターネット(3778)

さくらインターネット(3778)の株価チャート

さくらーインターネットとテックビューロが協力して立ち上げたプライベートブロックチェーン環境実証実験が大きな話題に!フィンテック関連銘柄の大本命

データセンター運営の大手としてお馴染みのさくらインターネット。2015年末、さくらインターネットが運営する「さくらクラウド」上でテックビューロが開発するプライベート・ブロックチェーンのクラウド化技術「mijinクラウドチェーンβ」を、金融機関・ITエンジニア向けに実用可能なレベルで一般に無料提供。フィンテック関連の本命・象徴株として一気に人気化した。

インフォテリア(3853)

インフォテリア(3853)の株価チャート

さくらインターネットと同じくフィンテック・ブロックチェーンの本命・象徴株として注目される「インフォテリア」。
インフォテリアの主力製品「ASTERIA」とテックビューロが持つプライベート・ブロックチェーン「mijin」を組み合わせる専用接続アダプターを開発。両社の事業提携と実証実験の開始を発表して以降、さくらインターネットと同様にフィンテック関連銘柄を代表する企業に。

セレス(3696)

セレス(3696)の株価チャート

スマホ向けポイントサイト「モッピー」「モバトク」などを運営するセレス。ポイントサイトの会員数を順調に増加させる中、仮想通貨ビットコイン関連のベンチャー企業との資本業務提携によって、フィンテック・ブロックチェーン関連の有望銘柄へ。
ビットコイン取引所最大手の「ビットフライヤー」や同取引所の「coincheck」を運営するレジュプレス、ブロックチェーン技術の「Orb」、ビットコイン取引所と仮想通貨のポータルサイト運営の「ビットバンク」、決済連動型マーケティングサービスの「アイ・ティ・リアライズ」など、複数のベンチャー企業と提携。

フィスコ(3807)

フィスコ(3807)の株価チャート

フィンテック・ブロックチェーン・人口知能(AI)関連銘柄としても注目されるフィスコ。上場企業で初めての自社仮想通貨(フィスココイン)を発行したことが大きな話題に!
子会社・資本業務提携にあるSJI(2315)・ネクスグループ(6634)と併せて、ブロックチェーン技術を使ったフィンテック事業の拡大が期待される。

オウケイウェイヴ(3808)

オウケイウェイヴ(3808)の株価チャート

日本初、最大級のQ&Aサイト「OKWAVE」を運営する株式会社オウケイウェイヴ。利用者にとって安全なユーザー認証、決済、コンテンツの管理を仕組みを実現する、ブロックチェーン技術を基盤とした知識流通システム『OKWAVE EBISU』を開発。
オウケイウェイヴは今後、『OKWAVE EBISU』をQ&Aサイト「OKWAVE」に実装し、専門家への個別相談サービスや知財コンテンツの売買サービスなど、既存サービスならびに今後の新サービスにブロックチェーンの導入を進める方針。また、一般財団法人ブロックチェーン技術認定協会の設立など、ブロックチェーンの普及にも注力。

リミックスポイント(3825)

リミックスポイント(3825)の株価チャート

仮想通貨取引所で国内初!リミックスポイントの子会社「ビットポイントジャパン」が日証金信託銀行との信託保全スキームを導入。
ビットコインの価格は2017年に入り15万円(1ビットコイン)を突破し最高値を更新!そして、春にも施行される見通しの改正資金決済法、いわゆる”仮想通貨法”によって、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は「貨幣」としてのお墨付きを得ることになる。
子会社「ビットポイントジャパン」の仮想通貨交換事業への新規参入を支援、大口OTC取引でのサービス強化の発表など、市場拡大に伴うリミックスポイントの動向にはぜひ注目したい。

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