仕手株とは
仕手株とは?投資家心理を巧みにあやつる仕手筋の特徴
「仕手株」とは、特定の投資家たちが意図的にまとまった投資資金を流入させることで、急激な株価吊り上げや吊り下げが行われた銘柄(その傾向が強い銘柄)のことです。
また、これら非合法な手段を使い、株価操縦を行う投資家たちのことを「仕手筋」と呼びます。
「仕手株」の「仕手」は能・狂言で主役を意味する言葉に由来するとされていますが、これはかつて仕手筋が普段あまり注文のない証券会社で突然大量の注文を出し「仕手(主役)登場」と表現されたことからによるようです。
つまり当時は仕手筋という存在が取次証券など市場関係者には認知されていたということですね。
「本日の株式市場は、仕手系材料が物色され・・・。」といった市場ニュースを見かける機会があるかと思いますが、一般的には仕手株と材料株を明確に区別することは難しいため、株価が高騰したり乱降下する銘柄は「仕手系材料株」と呼ばれたりします。
最近はネット証券経由による売買注文が中心となり「仕手株」という言葉もあまり聞かなくなった印象ですが、株歴の長い一般投資家にとっては身近な株式用語だと言えるでしょう。
どういう非合法な手段を使っているのかと思われる方もおられるかと思いますが、仕手筋が活用する金融商品取引法違反に当たる取引手法としては株価操縦行為、見せ板や風説の流布(価格を変動させる目的に虚偽の情報を流すこと)などが挙げられます。
仕手株は、一日に10%以上の株価変動も珍しくない値動きが激しく非常に扱いがむずかしい銘柄です。
故に仕手株への投資は、ハイリスク・ハイリターンと言われています。
上手く値動きに乗ることができれば、大きな利益を得られる反面、狙いと反対に株価が動けば大きな損失を抱えてしまうため、仕手株に対するしっかりとした知識を身につける必要があります。
仕手株の特徴
株価の急騰が見られる銘柄が、何かしらの好材料によって急騰しているのか、仕手筋の介入による意図的な株価吊り上げなのか、正確に判断することは困難です。
しかし、仕手筋がターゲットに選ぶ銘柄には、仕手株特有の特徴がいくつか挙げられます。
- 新興企業などの価値判断が難しい株
- 値動きの軽い(時価総額が小さい)株価の安い低位株・ボロ株
- 発行済み株式数が少ない株
- 普段から出来高が多くない株
仕手筋の手口と仕手株の値動き
株価の低い段階で株券を買い集める仕手筋の手口「玉集め」
仕手筋はターゲットとなる銘柄を決めると、誰にも気づかれないよう株価の低い段階からある程度の期間をもたせ、株価を上げすぎず、大きく出来高を増やさないよう、静かに少しずつ対象銘柄を買上げていきます。
この株価が低い段階で対象銘柄を買上げることを「玉集め」といいます。
仕手筋は、予定通りの買い上げが行われた後、一気に買い注文を出して株価の吊り上げにかかり、ターゲットの銘柄が市場の注目を集めるように仕向けます。
市場の注目を一気に集める「玉転がし」
次に仕手筋は、これまでの玉集めに比べると何倍規模の買い注文を市場に出し、ターゲット銘柄を一気に買上げます。
玉集めで買い集めた「玉(株)」をわざと売り注文として売り板に並べ、自らで買上げることで他の投資家に買われることを防ぎつつ、効果的に投資家の注目を集め、マネーゲームに引き込みます。
証券会社が公開している値上りランキングにターゲット銘柄が顔を出し始め、自らの売り注文によって売り板が厚くなり、出来高も急増します。この一連の株価操作を「玉転がし」といいます。
仕手筋は、誰の目にも触れないよう慎重に玉集めを行い、買い集めた玉を玉転がしという巧妙な方法で市場の注目を集め、最終的には仕手株化させたターゲット銘柄を他の投資家に高値で売却します。
投資家を揺さぶり売り抜け利益を確定する「振るい落とし」
これまでまったく注目されてこなかったターゲット銘柄は、株価の上昇率ランキングや日ごろ情報収集を行っている株情報サイトに顔を出し、ネット掲示板でも大きな話題となり、さまざまな噂が飛交い「提灯買い」が始ります。
噂が噂をよび、買いが買いをよび始めると、今度は「振るい落とし」と呼ばれる一時的な調整を仕手筋は行います。
この振るい落としは、浮動株を仕手筋が多く支配するための方法で、意図的に厚い売り板に入れたり、保有株を大量に買い板にぶつけるなどして、投資家の心理を揺さぶり株価を一時的に下落させるのです。
振るい落としが完了すると、仕手筋は再び玉転がしをはじめ、株価の吊り上げを行うことで更なる揺さぶりをかけます。
玉転がしと振るい落とし、さまざまな情報操作と心理戦によって、個人投資家が高値で買上げる状況になると、仕手筋は買いをぶつけて何も無かったように売り抜け、大きな利益を確定させます。
仕手筋による大相場(仕手戦)を築いた代表的な仕手株【8029】ルック
2002年~2003年にかけ、「大物仕手筋K氏」が仕掛けたとされる仕手株チャートです。
当時、ボロ株だったルック(8029)が好材料の発表もなく、約20倍の急騰を魅せたことはさまざまな憶測が飛交い、大きな話題となりました。
冒頭でもお伝えしたように、仕手株に手を出すということは大切な資金を失うハイリスクな選択をしたことになります。
仕手株は大きく株価を上げたあと急落し、その企業の業績に見合った株価に落ち着いていきます。
チャートを見ると分かるかと思いますが、材料が良く分からず株価を上げている仕手株の可能性が高い銘柄を高値で買ってしまうと、急落に巻き込まれ大きな損失を出すこととなり兼ねないので注意しましょう。
「連日の急騰を演じる話題の銘柄が、実は仕手株だった。」
ということに急落してから気付くのでは後悔してもしきれないかと思うので、これまでにご紹介した仕手株の特徴、仕手筋の手口をしっかりと覚えておいて、株価を急伸させる明確な材料・根拠を探るようにしましょう。
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